白パーカー記念日
私の生徒の中に「高次脳機能障害」の生徒がいます。

その生徒が真っ白のパーカーを着てきました。

白いパーカーなんて珍しくないと思うことでしょう。
しかし、この生徒は初めて私の元に来た時は、アスファルトのちょっとした凹凸に足を取られては転びそうになり、人混みでは人を避けきれれず当たって転んでしまったり、階段も手すりを掴むか、その近くでとても危なっかしい足取りで、見ている方がヒヤヒヤしてしまう位でした。
転倒してしまうことが多いので、汚れが目立たないように、いつも全身黒色の洋服でした。
私はてっきり黒色の服が好きなのかと思っていました。
それが今日、大雨の中眩しいほど真っ白なパーカーを着て来ました。

もちろん傘もさしてきました。
傘を持つこともバランスが崩れて歩き辛かったのに、当たり前のように傘をさして来ました。
そして真っ白なパーカー。
私は思わず

「汚れが目立ちそうね。転んだら大変じゃない?」

と言ってしまいました。

生徒は

「あっ!そうですよね。忘れていました。白色がとても気に入ったので考えずに白色にしちゃいました」

と、答えたのです。
これは本当に嬉しい発言です。
何故なら、昔はあんなにもバランスを崩して転んでしまったり、転びそうになっていたのに、そんな事がもう無かったかのようになっている現実が今あるのです。
私本当に嬉しく思いました。
アレクサンダーテクニークは脳を使い体をコントロールするメソッドです。
反復やフィードバックのトレーニングでは、可能になる動作に限りが出て来てしまいます。

新しく、一から脳の指令を神経で繋げていくようにする体の動作は、今まで使っていない部分の脳に刺激を与え、新たに体に動作の方法をインストールする事が可能だと私は考えております。
この生徒のレッスンを通して、私は沢山の事を学ばさせてもらいました。

いつも当たり前のように行う動作に対しても、細分化させて、いつ重心を移動するのか、いつ関節を動かすのかなどなど、障害を持たない人なら全く問題にならない事も、細かく学ばさせてもらいました。
ちょっとでも順番や意識の仕方がずれると体に無理が生じてバランスを崩したり、転びそうになってしまう体でしたが、脳での意識と指令(コントロール)によって、ここまで成長する事が理解できました。
まだ不可能な動作もありますが、きっとこの先それらも克服できるかもしれないとら信じております。
今日その生徒が白いパーカーを着て来た事は、私にとっては記念の日です。
元々無意識(惰性や習慣)で行なっていた動作が不可能になったからと言って、もうできなくなるのではなく、新しく思考や意識の指令を送る方法を身につける事で、その不可能が可能に変わる事があるのだと私は信じております。
「脳」に関してはまだまだ解明されていない事が沢山あります。
でも、やはりアレクサンダーテクニークの order the direction は、無限の力や可能性があるのではないかと私は考えております。
2017/10/16